「陽」
振り返るとそこには海がいた。
悠翔を思い描いてしまうあたしはなんて馬鹿なんだろう…
『何?』
あたしが問うと海は嬉しそうに抱き付く
「陽……」
『ん?』
「僕を一人にしないでね」
『うん。分かってるよ』
――分かってる
あたしが海を縛り付けてしまったんだから
ゆっくりと海のリストカットの後を優しく撫でた。
悠翔に会いたい……
今、
あたしを抱き締めるこの手が悠翔なら死んでも構わない。
それぐらい心は悠翔を求めてる
あたしはまだ悠翔の心の中にいるのだろうか??
我が儘だけど、
もう少しだけでいいから忘れないでほしい……