「おいッ!!!」
初めて聞く悠翔が怒鳴る声


「ふざけんなよ!! 証明するんじゃなかったのかよ? なんでだよ…俺じゃなくてあいつを選ぶのか??」

『ゆう、と…』

「行くな。お願いだ………行かないで、陽?」
最後の方は弱々しく消えてしまって聞こえなかった

『悠翔ッ』
あたしの心は揺れてしまう
側にいたいのは悠翔

でも……

海を一人にできない
海はあたしが本気で離れてしまうと死んでしまうだろう。
それをあたしに訴えるようにあたしが居る時には無かったリストカットのあとが海の手首に生々しくある……
試合の時はリストバンドをしていたから気付かなかった。


『ごめんね。悠翔…あたしの事嫌いになっていいよ』
引きちぎられる胸の痛みを感じながら悠翔の腕をすり抜ける