「あなた…悠翔くんの言う通りよ。陽が嘘なんか付かないことは、あなたが一番よく知っているでしょう?」
「……なら、お前は海が俺達を騙したってゆうのか?! 俺達の息子が…そんなことするわけがないだろ?」
苦しそうにお父さんが唸る。
あたしは悠翔の手をギュッと握り締めて引っ張った
「陽、どうした?」
『もう、いい…よ。あたし、別に…要らない。悠翔が…居てくれればそれで…いい』
「陽…泣いてるよ?」
あたしは首を横に振る。
『あたしが…居なくなれば上手くいくの… もういいよ? ありがと、悠翔。あたしの為にしてくれたんでしょ?』
無理矢理に笑うあたしを悠翔は悲しそうな顔をして抱き締めた。
「ごめんな…陽」
思いっ切り首を横に振っていると
優しく静かに懐かしい声があたしを包むような言葉が聞こえた。
「陽…お母さんはあなたを愛してるわ。あなたを産みはしなかったけど、大事な自慢の娘なの…だからお願い。“要らない”なんて悲しいこと言わないで? いつでも帰ってき…」
しかし、
それは
「ふーん…じゃあ、母さんはずっと僕を疑っていたんだ?」
リビングに入ってきた海に遮られた。
「…ッ?! 海! 違うわ…そうじゃないのよ? お母さんは二人とも可愛い子供なの…どちらも信じてるわ」
「矛盾してるね」
海が冷たい笑いを浮かべながら吐き捨てると
「「え…」」
お父さんとお母さんが見たことのない海にビックリしたような声を出す。
その姿に海は少し笑って
「矛盾してる、って言ってるんだよ。“どちらも信じてる”なんてさ? それに……僕以外が陽を傷つけるなんて許せない」
「何を言ってるんだ、海ッ?!」
お父さんが信じられない、というように叫ぶ