『た、だいま…』
「突然お邪魔してすみません。陽のお母さん」
震えているあたしを庇うように
悠翔は見たことの無いような作り笑顔を浮かべてサラサラと言葉をつなぐ
「あなたは?」
「陽さんとお付き合いさして頂いております…虎賀 悠翔です。初めまして」
「…初めまして、とりあえずあがりなさい」
「はい。おじゃまさして頂きます」
『…』
悠翔が隣に居るのに悠翔じゃないみたい……
すっごく変な感じ。
―コトッ
お母さんがリビングにあたし達を連れて行き紅茶をテーブルに置いた
『…ありがと』
「陽……元気そうでよかったわ」
『え? だって…』
「信じて貰えないかも知れないけれど、あなたの事を忘れた日なんてなかったわ。…わたしの可愛い娘なんですもの」
――ガチャ
書斎の扉がゆっくりと開く。
「お前を娘だと思ったことはない……俺の息子に手を出そうとした小娘。早く出て行きなさい」
『……お父さん』
悠翔は鋭い目をして、
ただ、お父さんを見ていた。