“善は急げ”
と、悠翔の言葉ですぐに行くことになった。
部活がたまたま休みだった日曜日――
『どうしよ…緊張してきた』
「俺……ヤバい。心臓口から出る」
『出してよ。見ててあげる』
「クールビューティーですね、陽さん」
家の前に着く
…もう来ることはない、って思ってたのに
インターフォンを鳴らす指が震えているのを感じた。
―ピンポーン
「はい」
インターフォンから聞こえる懐かしい…お母さんの声。
多分、この声を聞いて泣きそうになるのは少なからずあたしの中で“産んだ母”よりも“育てた母”の方を母だと思っているなのかも知れない―…
どちらにしろ、どちらの母もあたしを愛してはくれなかったけど
『あたし…陽』
「は…る?」
―バタンッ
勢いよく開くドアにビックリしていると
「陽ッッ」
息をきらすお母さんがあたしの名を呼んだ。