『……………クッソッッ!!』



思わずその紙をくしゃくしゃにして投げつけた。

時計に目を走らすと短針が12を少し過ぎたところにあって。



『12時頃、物音が聞こえたんです。

で、身なりを整え起きてくるともう沙羅様はいらっしゃいませんでした。

ざっと部屋を見渡しますと沙羅様が家から持ってきた荷物がなくなっていたのです。

そして携帯とメモが机の上にのっていました。



慌てて家の付近を探したのですが見あたらず晴弥様を起こすことにしました。

申し訳ありません、晴弥様。


私が沙羅様の異変に気づいていればこんなことには…』


瑞季は頭を下げるが俺だってバカじゃない。

沙羅の家出が瑞季のせいじゃないことくらい分かっている。



『瑞季、とりあえずこんな時間だが芽依、ジュウゴ、月島のところへ電話をかけろ。

アイツが行くとしたらそこの3件のどこかだろう』


芽依とジュウゴに連絡をさせるの当たり前だ。

そして月島と沙羅が仲の良いことももちろん、知っている。


沙羅の事前身辺調査で月島との関係は突き止めていた。

沙羅は月島のことはいっさい口にしないけどな。



『かしこまりました』

瑞季は一礼すると部屋を出ていった。


俺は部屋着を脱ぎ、動きやすい服装に着替えた。


じっとしていても始まらない。

とりあえず近くを探しに行こう。


まだそんなに時間は経っていない。

もしかしたら、見つかるかもしれない。


そんな淡い期待を抱いていた。