「ねぇ?でもなんであんなところにいたの?

しかもこんな時間に」


車のデジタル時計を見るともう1時を過ぎていた。



『遊馬んとこから電話があったんだよ。

沙羅がいなくなったって。』


え?

じゃあもうあたしが家出したの、瑞季さんも晴弥も知ってるんだ。



『たぶん、佐倉のところにも奈良のところにも電話いってるはずだ。

みんな、お前のこと探してる』


改めて自分の愚かさに気づかされた。

そうだ。


ジュウゴにも芽依にも瑞季さんにも何も言わなかったせいでみんなに心配かけたんだ。



『なんとなく今日のパーティの最後のほうからイヤな予感がしてたんだ。

だからすぐに車出して沙羅を探した』


要は俺に拾われてラッキーだったな、と付け加え笑った。



笑い事じゃないよ、要。

きっとあたしは遊馬家に帰ったら晴弥に怒られるんだ。


晴弥…今、頭抱えてるんだろうな。

明日の午前中に晴弥のお父さんとお母さんはまた海外へ行く。


それまであたしがいないことを隠し通さなきゃならないんだから。



ごめん、晴弥。

迷惑かけて。


でもこれが最後だから。

もう晴弥に迷惑かけないと思うから。


だから、今だけちょっと我慢してて。