「おーい日向、柚ちゃんっ」
「まあまあ、二人きりにさせてやれって」
「そうだな」
お節介かつ冷やかし部員の、そんな声を背中に受けながら…俺は柚の手を取って連れ去った。
外はゆっくりと茜色に染まっていて。
…二人で肩を並べて、家路を歩いていく。
「…明日さ、祝福ミーティングとやらが終わったら」
「うん」
「どっか…連れてってやるよ」
「本当っ?」
そう言っただけで、柚の大きな瞳がぱっちりと見開かれて。
…その笑顔が、眩しく輝いた。
「どこ行きたいか考えとけよ?」
「うん」
柚の小さな手が、ぎゅっと俺の手を握り締めて来るのが可愛くて。
…少し、強く握ってこっちに寄せた。
「日向は…どこか行きたいとこあるの?」
「んー、別に。」