ユウ君とは、チャットで知り合った。

もともと、暇つぶしで通っていたチャットで

ユウ君は、彼女を探していた。

話してて気が合うし、すぐ反応してくれるけど、

あたしには彼氏がいた。

「友達ならいいけど」って言ったら、

文通が始まった。

その事を、あたしの彼氏――…  

マキには内緒にしてた。

だって、彼氏はマキだけだし。

あたしから告白した、

ちょっとヤンキー交じりだけど、

優しくて男らしくて、かっこいい人なんだ。



玄関を開けて、まだお母さんが

帰ってきてないことを確認したら、

ケータイを自分の部屋に持って行った。



マキからもらったストラップ、

結衣からもらったミッキーとか、

いろいろ付いていて、もう随分重たい。



あたしの部屋に入ると、あたしだけの

自由な世界になる。

ケータイを開いて、メールチェックして、

ユウ君のアドレスを

丁寧に間違えないように入力した。

「…よし、できた」

自然と自分の口角が上がっていくのがわかった。

これでまた、少しだけユウ君に

近づけた気がしたんだ。