死のうと思ったことがある

 小さい頃から何度も

 生まれてこなければよかったと何度も思った

 それは同時に死にたいということだと思う



 実際

 死のうとしたことは何度かある

 車を運転していて

 そのままどこかに飛び込もうとした

 抗うつ剤や睡眠導入剤をアホのように飲んだ

 かみそりで

 左手首に傷をつけた


 でも

 わたしは生きている

 わたしは生きている



 死ぬって

 そう思うことはすごく簡単でいつだって望めるけど

 死ぬことは難しい

 すごく勇気がいる

 そして

 人を裏切る覚悟がいる



 


 好きな人が

 わたしの死を悼んでくれたらいいと思う

 そう思わない?

 好きな人がいて

 その人が

 自分の死を知って泣いてくれたらいいと思わない?



 想像する

 わたしの好きな人が

 真っ黒な服を身に付け

 わたしを見下ろして

 涙する




 でも今

 わたしが今死んでも

 そう

 彼は泣かない

 彼は、わたしの死をおそらく誰か友人を介して知るだろうけど

 きっと泣かない

 そんな現実はイヤ

 わたしはそんな死に方をしたいんじゃない

 そんな死はイヤ

 だから





 わたしは今日も生きている

 あの人を思って生きている

 わたしはきっとあの人より先に死のう






了