自分が。

 自我が。
 
 崩壊していくのがよくわかる。

 このまま。

 人並みには生きていないのだと思う。



 もっと。

 そう、もっと。

 穏やかに、緩やかに。

 生まれたての子犬のようにゆったりと生きたなら。

 何か違うかもしれない。

 だけど。


 わたしはもう大人で。

 わたしは誰かに人生をゆだねることもできない。

 だから。




 でも。

 感じる。

 頭の中でシャボン玉がひとつ、またひとつと割れる。

 そのたびに自分の何かが弾けて消える。

 いつかこの指が一本ずつ動かなくなっていくんじゃないかとか。

 臓器を一つずつ吐き出していくんじゃないかとか。

 感じる。



 それから逃れる方法をわたしは知らない。

 もしあったとしても手を伸ばさないかもしれない。

 もう。

 そのときにはすでに、この両腕はもげているかもしれないし。




 ああ。

 自分が壊れていくと思う。

 いつか。

 呼吸をするだけの生き物になるような気がする。

 そうなる前に死ぬことができたら。

 それが一番のしあわせ。



 だけどもきっと。

 なぜだか思う。

 わたしは長生きしそうだ。