わたしはずっと

 自分がとても高尚な人間だと思っていた

 そんな訳はないのに

 自分がとても特別な存在で

 選ばれるべき逸材だと信じていた

 それでも今ごく平凡に暮らしているのは

 単に

 時期が来ていないのだと思っていた



 お気楽


 ご気楽


 能天気



 わたしって……


 結局使い古しのティッシュのような存在なの

 もしくは

 使い古したコンドームとか

 つまり

 何の価値もないの

 実際のところ

 今まで何か仕事をしたかといえばそれは

 自信もないけどね

 ということは、わたしは

 ティッシュにもコンドームにもなれない




 わたしって……



 自分をあきらめるのは簡単だ

 ただ胸が苦しいだけ

 自分の人生はこんなんじゃないって

 いつもいつもそう言い続けて

 いつか違った人生になるんだって


 思い込むのは簡単
 
 それを現実にするのは至難

 気づくまで時間がかかりすぎていない?


 
 わたしって……



 こんなに無能でとぼけた人間だったなんて

 もっと前に気づけばよかった

 そうしたら夢を見ずにいられた

 そして



 もっと殊勝に暮らせたわ



 わたしって……

 本当にそんな人間なのかな

 きっとそうなんだろうな

 じゃなきゃこんなふうに

 一人ぼっちで泣いたりしてない