「麗ちゃんへ。
改めて手紙とか、初めてのことだから少し緊張しちゃってる自分がいます。ふふ。
まだ離れて少ししかたってないけど、かわりはないですか?
お母さんはもう少ししたらリハビリに入るみたい。私も顔の傷、結構治ってきたよ。人間の治癒力ってすごいね。
病院の近くに美味しいケーキ屋さんがあって、買って行ってお母さんとよく食べてるの。麗ちゃんももしこっちに来る機会があったら、絶対絶対食べるべき!(私のおすすめはうねうねたっぷりのモンブラン♪)
今回は、本当に心配かけてごめんね。
もっと早く相談するべきだったのかもしれないけど、しなかったのは、言葉にしたら、不安が本当になっちゃう気がしたの。
私はいつも、信じることしかしなかった。
私の家族は、大丈夫。皆大丈夫、そう自分に言い聞かせてた。
あったかいはずの家のどこかでぐらついているあやうさに、私は気づいてた。でも見ないフリをしてた。
いつも、そうだったの。
信じたいものは、とことん信じぬきたかった。
とことん完璧でなきゃ嫌だったの。
私は今まで信じられそうなものとそうでないものをいつも取捨選択してたと思う。
友達も、自分なりの基準を満たした人としか付き合わなかった。
満たさない人には見向きもしなかった。
覚えてる?女子トイレで麗ちゃんと、初めてまともに話した時のこと。
あのとき麗ちゃん、私のことカッコいいって思った?
私もね、話してて自分のこと少しそう思ってたの。
付き合いたい人とだけ付き合って、人の見たい部分だけ見て。そんな風に生きることが、自分を持ってるということなんだと、どこかで誇ってた。
馬鹿だよね。いつかは向き合わなきゃいけないことから逃げてることには変わりなかったのに。
私の心はいつもどこか極端だった。私自体がぐらついてた。
なんて、今の私だってきっとぐらついてるんだろうけどね。
気づけたこと、今回の収穫かな、なんて思います。