* * * *

ぼんやりとその日を回想していると、亮太によって一気に現実に戻された。



『なぁ麗!俺はドランクドラゴンの塚地よりキングコングの梶原寄りだよな?!』


『‥‥‥‥‥‥‥は?!』

まだやってたのか、亮太と佐野センのアホトーク。


『……足して÷2じゃない?』





『‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥(合成中)‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ぅうっわ今すげーキモイの想像した!!』


『はいはいバカ言ってないで行こうよもうー。先生、失礼しましたー。』


『おう、じゃぁ頼むぞ塚地。』

『だぁから佐野ぉ!!』





* *



『あっやべオレ部室に忘れ物してたんだ!ちょ、取り行ってくるから先行ってて。』

『了解。』



まさに犬のように軽やかに走っていく亮太を見送って教室に向かう。



その途中、何かが上履きに当たったような気がした。

立ち止まって見渡してみると、細長い鍵が廊下のすみでほこりにまみれている。

しゃがみこんで拾って、さびや傷でざわざわとした表面を爪でなぞった。


変わった形で、教室などのものではなさそうだ。


職員室に届けたほうがいいのだろうかと思いつつ、
別に今でなくてもいいか、と適当にポケットに入れておいた。