そんなことを考えながらしばらく観察していると、
見飽きた顔がいきなり目の前に現れた。

亮太だ。


『麗っはよ!俺ら今日当番だよね?』


『あーっ忘れてた!ごめんっ日誌とりいこ!』


そういって二人で歩き始めると、
後ろから女子のコソコソ話す声が聞こえた。


初日のカナの件のせいで、
男子との関係にみんな敏感になってしまっている。


『はぁ‥‥めんどくさ。』

『ん?あぁ当番?』


『いゃ、こっちの話…。
それよりあんたどうしたのその頭は。』

『これか?!かっこいいだろ!!』

亮太の髪はほんのり茶色くなって、
ワックスもいつもより気合いが入っている。



『麗ちゃん。俺は決めたのだよ。』


『何を。』


『俺‥‥モテる!!!』


‥‥いやあんた‥決めただけでモテたら誰も苦労しないから。


『な!クラスの女子、俺のこと何か言ってなかった?!』

『えぇー?…あぁ!言ってた言ってた!』

『マジ?!何て!?』


『犬みたいって。』



『‥‥‥‥‥‥‥‥‥犬?』


『うん。』


『‥‥‥‥‥‥‥かっこいいとかは?』


『Nothing。』


『えぇーーーーうわ俺せつねぇー!
じゃあモテる前に犬脱出するわ‥。』

『あはは!』



本当は、『犬みたいで可愛い』って言ってたのだが、あまり調子に乗らせないようにあえて黙っておいた。