華奈は、一年生の頃から男好きで有名だった。


でも、もともと非常に人なつっこいようで、
その態度は特に男子に対する時に限らないし、
私が思うに、そんな悪い子じゃない。

ただ、女子に対して鈍感なんだろう。


学校の女子の間には、くだらないがルールがたくさんある。

その中の一つ。それは“適度”ということ。


例えば、男子と話したりふざけたりする時。

その度合いはそれぞれのクラスの新密度によって
調節しなければならない。

カナは、初日にして、そのルールを破ってしまった。






新学期が始まった日。

女子は皆、名刺代わりにメールアドレスと電話番号を交換した。

カナも同じように配った。


1つ違うのは、クラス“全員”に配った点だ。


そう、彼女は男子にも一人一人、アドレスを渡していったのだ。
しっかりと笑顔を添えて。


その様子を女子は遠巻きに見ていた。
皆思うことは一緒だったようで、
「やっぱりね」と、誰かが言ったの封切りに、皆が嬉しそうにカナの事を話し始めた。


この子はこれからやばいんじゃないかな、と思った。

案の定、次の日からカナとすすんで口をきく女子はいなかった。




しかしカナは自分の立場をわかってるんだろうか。


とにかく誰かと一緒にいたいのか、男子の方が気が合うのか、それからはいつも男子のところにいる。


カナが楽しそうに笑うたびに、女子はイライラしているようだった。

女子と仲良くなりたいなら男子ともっと距離をおけばいいのに。
どうして自分からゲームオーバーの方向へわざわざ動いていくのだろう。
もう諦めているのだろうか。