あれからしばらくして、優季からメールが届いた。


【この間弾いてくれた曲は何ていうの?】


内容がどんなであれ、メールを貰えたことが嬉しくて、


「やったー!!!!」


子供のように飛び上がって喜んだ。


【マーラー作曲
交響曲 第5番 嬰ハ短調 第4楽章『アダージェット』】


そう打って、即、返信した。


♪〜〜♪


すぐに返事が来て


【ありがとう】


短くて素っ気ない優季らしいメールだった。


あの日の別れ際に、優季が見せたふわりと柔らかな笑みは止まっていた彼女の時間が動き出した何よりの証拠。