「俺、わかったんだよ。

病院でお前が言った『生きたくても生きられない人がいる』

あれは真人さんと赤ちゃんのことだったんだな?」


優季の抵抗が止まった。



「お前、こんなことをしていて、亡くなった真人さんが喜ぶと思うか?

辛くて見てられないって心配しているんじゃないのか?

真人さんは、天国でお前が幸せになることを願っている…

俺はそう思う」


優季は力が抜けたように、床の上にペタンと座り込むと、


『真人は、私にサヨナラも言わないで逝ってしまった。

赤ちゃん…遺してくれたのに…

守ってあげること…できなかった…

私はひとり…ひとりになってしまった…』


力なく呟く優季の目から堰を切ったように涙が溢れ出した。