6年間、忘れたことなんかなかった。

キミを想って何度も泣いた。

どうして隣にいないんだってキミを責めたこともあった。

ハルを見た瞬間、すべてが飛んでってしまった。
それくらい俺にとってハルは大切な人だった。


「ヒロ!」

声に驚き振り返ると、そこには帰り支度を終えた町田が自分の鞄を左肩にかけ、俺の鞄を右手で持って立っていた。

「ったく、話しかけても全然反応してくんねぇし」

「ごめん、ごめん。ちょっと考え事しててさ。ほら、鞄ありがと」

「なんだかんだいってヒロも転校生のこと考えてたんじゃん」

ふてくされながら鞄を差し出す。

「そうだね、だって3年で転校してくるなんて気になるよ」
「あっそれ俺も思った!3月には卒業なのにな―」