背伸びをして、先生にキスをした。

自分からなんて初めてだ。

「…先生なんです。埋めつくしているのは」

自分の心の中には、先生だらけだ。

恋愛ドラマみたいになるのは嫌だった。
漫画のようになるのも嫌だった。

だけど…

「先生、よろしくお願いしますね」

「…うん…うん」

先生は、自分を抱きしめて涙を流していた。

先生。先生のおかげで、運命という簡単な言葉をいつしか重みのある言葉に変わったんだよ。

「宮沢さん…」

「先生。泣きすぎ」

やっぱり子供みたい。
けど、やっぱり好きだ。

《恋愛》

自分には無縁なものだって思った。
自分には必要がないものだって思った。