けれど、条件に従うなら紀琉との契約を絶対に切らないなんて、一生紀琉との契約の恋人をし続けなければいけなくなる。

璃雨も人間だ。

他人から決められる生き方は出来ればしたくない。

でも…。

紀琉の真実。

紀琉の生き方。

知る必要はないとは言いきれない。

西山日向が言うように、璃雨と紀琉が璃雨から見えない場所で繋がっていたとしたら。

璃雨の生きてきた道に紀琉が歩いていたとしたら、璃雨は無関心でいてはいけないような気がした。

そんな気が、した。

「…璃雨ちゃん。」

西山日向は深く考えこむ璃雨を見て答えを急ぐ。

璃雨はしばらく考えて、西山日向と視線を会わした。
「……約束します。条件に従うこと。だから…紀琉のこと教えて下さい。」

あの日誓った約束があったから、璃雨は生きていられたのかもしれないね。