その言葉を言うときの西山日向の声のトーンは、心なしか下がっていた。

「…条件…?」

ピンクのリップをつけた唇がかすかに震える。

西山日向はにっこりとうなづいた。

「うん。それは…。」

璃雨は耳をすました。

人を知る。

君を知る。

世界を知る。

真実を知る。

どんなに残酷な真実でも、全て意味があるという定義があれば、人は真実を知りたがるのだろうか。

無関心ではいられなくなるのだろうか。

ふとそんな事を思った。

先を知っている世界なら、救える心もあるだろう。

でも、きっとどこかが抜け落ちてしまう。

それと反対に、先が分からない世界だからこそ傷つく心もある。

でも、未来があるから人は希望をもつ。