「見て、琴音。

生徒会長だよ」

クラスに一人以上、必ずいる情報通、それが琴音の入学して一番にできた友人であった。

「今年の生徒会は皆男なんだってね。

イケメン多し!

特に生徒会長の速水先輩、

どっちかっていうとカワイイ系だよね……

って、ねぇ、聞いてる?」

適当な返事を返す。

――速水先輩、そうだ、思い出した。

速水 誠一(はやみ せいいち)、

生徒会長。

「あの会長がねー」

誰に言うわけでもなく、一人呟く。

お弁当のタコさんウィンナーにフォークを突き刺すと、友人が身を乗り出して、琴音のお弁当に入っていた卵焼きをさらう。

「え、何々?

会長について何か知ってるの?」