それから視線が速水の隣に座っていた眼鏡に向けられた。

「それで、彼が」

「北上一輝(きたかみかずき)です。
会計兼書記をやっています。
どうぞ、よろしく」

磨き上げられた、一点の曇りのない眼鏡がきらり、と光る。

「そう、北上にはいつもお世話になってるよ」

速水は気を取り直して、話の主導権を自分に戻す。

最後に、と視線を向けたのは、さっきから一言も話すことはなかったけれど、始終笑顔を絶やさず、話を聞いていた、大人っぽい優しそうな雰囲気の男だった。

「僕の番? 保険委員長の高郷梓(たかさとあずさ)です。
大抵保健室にいるから、よろしくね」

やっばり笑顔。