生徒会室のドアに手をかけたまま、琴音は深呼吸。

開けるかどうか躊躇っていると、背後から慌ただしい足音。

「おい、そこどいてくれっ」

次の瞬間、背中に鈍い衝撃。

前のめりに倒れた琴音の体は、扉と誰かさんとにサンドイッチ。

二人分の体重にスピードが加わり、耐えきれなくなった横開きのドアは、何故か前へと開いた。

「……や、悪かった。後遅れてすまん」

背中に人(恐らく男、かなりの大男)を乗せたまま琴音は顔だけ正面に向ける。

驚く様子も見せない、生徒会メンバー数名と、正面には呆れた速水の顔。

「黒崎、おめでとう。今回で遅刻は十回目。後そのドアは横開きだって、何回言ったらわかるの」