「彼女、生徒会役員だから」
さっきまで置いてけぼりであった琴音の思考はさらに混乱する。
それは藤本も同じであった。
「え、てか琴音ちゃん、女の子でしょ」
同じく文句を言うべく琴音が口を開きかけると見計らって速水が先に話す。
「今俺が決めた。
一目惚れだよ」
「じゃあ役は?
メンバーもう埋まってるじゃん」
速水もさすがに少し考える表情を見せた、がすぐに開き直る。
「じゃあ、俺の秘書」
「……ま、どーでもいいか。
あ、五限目は俺サボりの時間だから、もう行くわ」
藤本はまたいつものやる気のない顔になると、席をたった。
教室を出ようとした後ろ姿に、速水が、放課後会議あるから、と言うと、ひらひらと手を降った。