「これはこの世界中の奴が欲しがっている物」
チェーンから手を離し飾りの椅子が揺れる
「神の遺産、そう呼ばれている」
「………じゃああげる、あげるから下ろして」
呆然とただ聞いていた少女は何故自分がこうなったとか神の遺産が椅子ってどういう事、とかもうどうでもよかった、とりあえず家に帰りたい、帰れるなら椅子の一つや二つあげてやる、そんな投げやりになるぐらい疲れていた。
「貰えるならとっくに頂いてる、ただ」
リオンは飾りの椅子に触ろうと手を伸す、触れようとしたその瞬間
バチン!!!
眩しいくらいの光りを発し電流の様なものが走る。
「こうなってお前以外誰も触れないんだよ」
電撃をもろにくらったせいか手を擦り意味もなく少女を睨むリオン。
「だからって私、こんな物騒な所居たくない」
「安心しろ、お前みたいなモンスター並に凶暴な奴誰も手を出さん」
「何それ!!」
しゅんと、か弱い雰囲気を出して弱音を吐けばハイドが先程の乱闘を思い出しながら間髪を入れずフォローにならないフォローを入れ、むっとした少女が思わず声を荒げる。
「そう言う事だ、悪いがお前に拒否権はない、逃げ出そうとしてもすぐに捕まえるから諦めろ」
腕を組んで偉そうに言うリオン、もう厄日だ厄年だとぶつくさ呟きながら少女はうなだれた。