丁度皮むきが終わった頃、ガクンと一瞬機体が揺れ不思議そうに青空とアルタはお互い見合わせる。
ガガガとスピーカーからノイズの音がし、機体が更にカタカタと揺れ出した。
『政府の戦闘機と思われる機体を発見、向こうも気が付いているはずだスピード上げて振り切るから外に居る奴は直ちに機内に戻れ、機内に居る奴は激しく揺れるから何かに捕まるよう』
ハイドの関西弁が抜けたいつになく真剣な喋り方と声に意味が分からない青空も目の前で眉間に皺を寄せているアルタを見て危険な状態と言うことがわかった。
「ソラは此処に居ろ、転ばない様に何かに掴まってろよ」
「ちょちょちょ!アルタどこ行くのよ!」
次第に激しくなる揺れも気にせずアルタは立ち上がり食堂を出て行こうとする、それを慌てて腕を掴んで引き止める青空。
「ハイドのサポート!」
「サポートってアルタに何が出来んの!!?」
「うるせぇ!色々出来んだよ!ちび舐めんな!!」
「どちびとは言ってないってぇぇ!!」
青空の言葉を最後まで聞くことも無くアルタは食堂から出て行ってしまった。
残された青空は誰も居ない食堂で激しくなる揺れに耐える様にテーブルの下に呑気に寝ている龍之介を掴んで潜り込んだ。