全て自由に使っていいことからここには常に2、3人の青年達が、隣の部屋の木村の事務的な声を聞きながら、それぞれの時間を潰していた。

待機していれば、指名ではなければ優先的に声がかかる。

ここにいることはそんなメリットもあった。




デリホスは一回のデートで基本料の2割とオプション料、延長料を持ち帰る事ができる。

こずかいをくれる上客もいる。

基本的には体は売らないが、延長や指名を増やすために客と体を重ねるデリホスもいるようだった。

もとからいるデリホスの紹介を通して厳しい面接をパスしてしまえば、働く側にとっては楽な職業。

登録している青年は大学生やフリーター、サラリーマンもいる。

保証人はいらないが、学生証や免許証、社員証のコピーと戸籍謄本の提出は絶対条件となっている。

ここにいるデリホスは生活に困窮している者はいない。

暇潰しやこずかい稼ぎ程度に登録している青年ばかりだった。

彼らに余裕があるからなのか、客に対する態度もすこぶる評判がいい。