返事も出来ない聖にミスズは同じ言葉をもう1度言った。

ミスズの顔は強ばっている。

仕方なく聖はベッドに近付き、ミスズから受話器を受け取った。

「お電話代わりました」

聖は誰だかわからぬ相手に自分が話してる事を伝える。

『君がデリホス君かい?』

聞こえてきたのは男の声だった。

聖が返事に困っていると、相手はそれを察したように話をはじめた。

『君をミスズに用立てたのは俺なんだよ。i‐LOVEに依頼したのもね』

「え?」と聖は思わず驚きの声をあげる。

電話の相手はククッと笑う。

『君もプロなら彼女に男を教えてやってくれ。一人の男しか知らない女はつまらないからな』

電話の向こうの男の声に聖は返す言葉が見つからない。

ミスズと男の関係もさることながら、女に男を用立てる男の考えが理解できなかった。

聖の沈黙に男はまたククッと笑った。

『抱いたって構わないよ。金は足りているだろう?』

受話器を通して聞こえる男の声がミスズに聞こえたのだろう。

聖の目にミスズの体が震えているのが映った。