「てか、それだけで電話したの？」

『そうだよ～ん。でもね、多分敦司からは、聞けなかった情報があるんだけど‥知りたい？』

うふふ。なんて笑いながら、悪戯っ子のように聞いてくる美嘉子。


「別に‥。」

『なんでよ?!聞きなさいよ!!
でね、その事件の、親子の名前がわかったのよ。
母の名前はキムラハルエ。ｷﾑﾀｸの木村に、ハルエは平仮名みたい。
で、子供の名前は、木村カオリ、香る織物ね。に、木村ハルカ、遥か彼方の遥かね。
で、義理の子供が』

「あ、ごめん。家着いたから、また明日ね。」


そう言って無理矢理、電話を切った。

名前まで出て来たなんて、噂流した奴も暇だなぁ。





家の門をあけ、愛犬のハッチに｢ただいま｣と言う。
いつもの流れだ。

ハッチも歳とったなぁ。
真っ白く伸びた口周りの毛が一層、老いを感じさせた。



「明日は俺が風呂入れてやるよ」

なんて、言いながら家に入った。