「じゃあ、俺帰るから。
馬鹿みたいな噂信じてないで、少しは文法でも覚えろよ。」

そう言って、カップに少し残った紅茶を喉に流し込んだ。


「ほーい。でも、お前の母ちゃんにも聞いてみろよ。バスガイドなんだろ?」

確かにうちのお母さんはバスガイド。だからって、んな情報知ってるわけないじゃん。






♪.♪♪..♪~
帰り道、急に「魔王」のメロディーが流れ出した。

「‥美嘉子だ‥。」

無視しようかと思ったけど、一向に鳴り止まない‥。
諦めて通話ボタンを押した。


「もしもし?」

『ちょっと!!なんで早く出ないのよ!!バカ?!ねぇあんたバカ?!』

電話ごしに美嘉子の金なり声が響く。

「んで、用件はなに?
こんな長らく鳴らす位だから、それなりの用件があるんでしょ。」

『そうそう!で、知ってる?通り池のデ・ン・セ・ツ。
それがさぁ、その伝説に』

「似た事件があったんだろ?」

美嘉子の言葉を遮り、美嘉子が言おうとしていただろう内容を、先に言ってやった。

『え?!なんで知ってんの?!』

「敦司だよ。さっき聞かされた。正直信じてないけど。」

そう言いながら空を見上げると、満月の明かりで星達が見えなかった。


『ったく、麻って面白みがないよねぇ。まあ、信じるか信じないかはあなた次第。だけどね。』