「誕生日」
誕生日?
バースはすっかり忘れていた。自分の誕生日なのに。
両親が生きていた頃は、毎年恥ずかしいぐらい祝ってくれた。でも、両親が死んでからは誰にも祝ってもらず、自分でも忘れていた。
自分でも忘れていた誕生日を、先生は覚えていた。
「誕生日、一緒に祝おうね」
笑顔で先生が言う。バースは少し照れながら、
「そんなもんどこで祝うんだよ」
「学校」
「学校?いいのかよ」
「大丈夫。学校は冬休みで誰もいないから」
まぁ、先生がいいと言うんだからいいんだろう。