「ん?」
振り返ると、十歳位の少女がいた。右腕には色とりどりの花が入った籠を提げている。
「どうした?」
聞くと、少女は可愛らしい笑顔を浮かべ、
「お花いりませんか?」
どうやら花売りらしい。バースは少し考えてポケットからコインを差し出した。
「一束貰うよ」
「ありがとうございます」
コインと引き替えに、バースは名も分からない花を貰った。
墓参りだから、花ぐらいは持って行ったほうがいいだろう。だから丁度よかった。
「ありがとう」
少女と別れ、バースは大切な人が眠る場所へ向かった。