5人は、商店街からちょっと離れた公園に入って行った。

 
 少し経って稔が懐かしそうに口を開いた。



「俺らと桜が初めてであったときも、こんな感じだったよなー。4年前の中1の頃だっけ?」

 

稔はこの中でも皆をまとめるリーダー的な存在だった。年齢の割りにしっかりしてて、どこかこなれた感じもある。






稔に続けて飛鳥が懐かしそうに話し始めた。



「そうそう。あの日は夜だったね。今日みたいに俺らがゲーセンに行っててさ。
そしたら知らない女の子が男たちに絡まれてて。無理やり連れて行かれそうになったところに、さっきみたく稔達が殴りに行ったんだよね。
んで、そのあとこうやって走って、この公園に逃げてきたんだっけ。
ていうか今日と一緒じゃん!4年経ってもやってること変わんないなぁ。命いくつあっても足りないよ。」


飛鳥はほんわかとした雰囲気の少年のような男の子だ。この中では一番小柄で人懐こい。

飛鳥の思い出話に、皆で笑いあってうなづく。

「そうそう、ここで桜に事情を聞いてたら、孤児院を抜け出してきたやら、記憶がないやら、マジでびっくりしたよな」



喜治はほどけかけた靴紐を結びながら言った。喜治は明るいお調子者で金髪のためか、先生からよく目を付けられるタイプだ。もっとも本人は気にしていないから一向に改善する気配がない。この中でも良いムードメーカーだ。





「ほんとほんと。結局俺んとこに転がりこみやがってさー。ま、今では俺らの信頼できる仲間だけど。っつーか、そんなことよりさ、仕切りなおしてどっか行こーぜ!」



稔が一言そう言って、5人で公園を後にした。