そして昼休み。岸和田と宮城に相談することにした二人は、昨日の事について話す。



「そうか…少しずつ思い出してきたか。良かったな。でも焦る必要はないぞ。時がたてばだんだん思い出してくることもよくあるんだ。もし何かあったらすぐに知らせろよ。力になってやるからな。できることは協力するさ。」



「俺もお前達のことをちゃんと大事に思っている一教師として、全面的に協力するよ。いつでも相談に来いよ。俺らで良ければ相談相手くらいにはなれるしな。それから、岸和田先生も言った通り、ゆっくり時間をかけていいと思うよ。........まぁ、その、なんだ、役に立つこと言えなくてすまんな。」


「いえ。じゃ、今日はありがとうございました。…失礼します。」



やはり、人気の高い先生たちは違うな、と言わせんばかりの対応を受け、安心しているような表情の桜に声をかけた。



「良かったな、先生に相談して。」



「うん。ありがと。稔。」




 前よりも少しずつだが確実に仲良くなってきたな稔と桜。桜の笑顔も、昔に比べると随分増えたと稔は思う。



 
 そこへ圭と喜治が走ってきた。



「おーい。どうしたんだ?」