「うん。じゃ、おやすみ。」


「おやすみ。」



 桜がなるべく気にしないように稔は軽い口調で話した。



 そんな心遣いに気づいた桜は、部屋のドアを開けようとしたが振り向いて声をかけてきた。



「稔…。」


「ん?」


「…ありがとう。」


「なに言ってんだよ!らしくねーぞ!気にすんなって。おやすみ。」




稔の言った、「かっちゃん」というのは、桜達の担任の先生で、岸和田和也(きしわだかずや)という。

 
 通称かっちゃん。

 
「宮城」というのは、宮城誠(みやしろまこと)といって、この人も桜達の学年の先生だ。


 二人ともとても信頼のできる先生で人望が厚く、人気もある。とくに岸和田と稔はなぜかとても仲が良い。いつも何かといろんな話をしているようだった。




 ともかく、桜の体がなんともなくてよかった。そう思いながら稔も眠りについた。