桜と一緒に家に入るなり、稔が桜の顔を覗き込んで言った。



「桜。お前、何か隠してないか?さっきの思い出したときのことを話してから、様子が変だぞ。」



「隠してる?何の事?」

 

「とぼけんな。お前とどれだけ一緒に過ごしてると思ってんだ。俺に隠し事なんて無理だって。ほら、言ってみろよ。」



稔の観察眼の鋭さと、自分をそこまで見ていてくれる優しさに、桜は力を抜いてため息をついた。




「……。男の人が倒れていたって言ったでしょ?
.........その時、周りが真っ赤だったの。赤い背景に映像が映し出された、みたいな感じ。別に大したことじゃないと思うんだけど、なんか気になって……。」



 桜の言葉を真剣に聞く。



「真っ赤に?何だろう…?…とりあえず明日、かっちゃんか、宮城にでも相談してみようぜ。今考えても仕方ないから、寝ろ!お前は夜更かしすると、すぐ具合悪くなるから。わかったら、自分の部屋に入った入った!」