「乙部さんまた告られたんでしょーっ?」

「マジ!!?でもさぁ乙部さんて確か....」

「そうそう、外見は超可愛いけど性格キツいって有名な」




風がここちよく感じられる春、
クラス替えで賑わう生徒たちの群衆をかき分け
異様なまでに渦々しいオーラを放った少女がいた。



彼女の異様と呼べる様は雰囲気だけでなく
誰もが彼女に目を奪われる。



彼女____乙部 神夜(オトベ カグヤ)の容姿は
誰もが認める可愛さだった。




「........」




彼女は淡々と人をかきわけ廊下を付き進んで行く。


ピタリッ。



そして4、5人の男子の集まりの前で動きを止めた。



彼女の表情は、茶色い長い髪に隠れてうかがえないが
少なくとも上機嫌ではないことは分かる。