コンコン―。


「オレだけど……」


「オレオレ詐欺はお断り(笑)」

「……春哉だけど」

「知ってる。どうぞ」


わ…浴衣似合ってる…。

「よ、今いいか?」

「モチロン。せっかくだし、
星とか見ながら話していい?」

「あぁ。」

私と神田は窓辺の椅子に
腰を落ち着かせた。

「星……キレイだね…」

「……そうだな。」

「傷のことだよね。」


「あぁ。」


「私、1年の3学期って、
ほとんど休んでたでしょ、
あれはケガが原因でね、傷跡はその名残なの…。」


「……なにか、事故にでも?」


「違うわ。」


「……事件……とか?」


神田はやっぱり、優しいね。
私、お風呂からずっとリストバンド外してるのに…。
ねぇ、ホントは分かってるんでしょ?



「答えはね、自殺。
崖から飛び降りたの。
未遂になったけどね(苦笑)」


あぁ、引くようなこと
話してゴメンね…
でも、これが貴方が知ろうとしたことよ…。


「なん…で、自殺……を?」


「ダメよ…。
それ以上聞かないで。
神田君が知りたかったのは
傷跡がある理由でしょ?
だから、この話はお終い。
さ、もう寝よ。明日、早いし。ね?」



「なんで…
そんな笑ってるんだ?」



「神田君と、もう関わらなくてすむからかな(苦笑)」


「オレ…断るって言ったよな?」


「それは、話を聞く前の神田君の意見でしょ?
それに、傷跡は1つじゃないの。」

「……手首…だろ?」


やっぱり、気づかないフリをしてくれたんだね…。


「他にもあるの。
引くでしょ?こんな傷だらけの女と関わったことなんて白紙に戻した方が人生、何倍もお得だよ。」


だから、もうこれを機に関わらないでね…。