「完璧に熱あるわね。」

「……すみません。」

昼休みのあと、
いつの間にか学校が
終わってて、気づいたら
バイトをしていた。
体の異変に気づいたの
はその時だ。
頭がボーっとしてて、
体が熱い…。

それでもお客様の前では気づかれる訳にはいかなかったから、なんとかバイト終了まで耐え抜いた。




コンコン―


「開けていいかな?」


(この声…マスター?)

「綾乃ちゃんの具合どう??」


「熱が8度あるの。」

「8って…綾乃ちゃん〜
無理しないでよ……。」


「…すみません。」


「頑張るのは嬉しいけど
無理されるのは嬉しくないよ。」


「…………はい。」

情けない。
まさか熱が出るなんて…

「もうすぐ、掃除が終わるから送ってくよ。」


「いえ、それは……」

今日も神田が来てるから…

「ダメ。送るから寝てなさい。」

そう言って、マスターは掃除に戻っていった。


「川崎さん……」


川崎さんに頼んでみよう。


「なに?」


「外に…、迎えが来てるんです。だから……」


その人と帰ります…。


「その人は、車で着てるの?」


「…いえ、バイクです。」


「その体でバイクは危ないわよ。」


「大丈夫です。」

駅までだし。

「その人、どこで待ってるの??」


「表の…電柱のとこに…」

「分かった。
ちょっと待ってて」





そう言って川崎さんは更衣室を出ていった。