「俺の事が好きなんだろ?」


確かめるように、誘惑でもするかのような瞳を投げる。



……わからない。

自分がなっちゃんにどんな感情を抱いているかさえも…。


全てがわからないんだよ。


「だったら、もう近付くな」

「なんで!?それはやだよ!」


なっちゃんの言葉にあたしが続けて叫んだ。


「…央」

陸があたしの名を口にする。


「なかばーあ!」

その瞬間、賑やかな雰囲気で周りの声すらまともに聞こえないのに。


明らかに、怒りの混じった…

そして嫌いな声が耳に入った…。



そんな声が、耳中を支配した


あたしと陸は顔を見合わせる。


今は、なっちゃん何とかって言っている暇はない。


「あんた、ばかじゃないの!?陸も!今、あたし達クラスがどれだけ忙しいと思ってんの…よ?」


やはり、明菜だ。

しかし、明菜の様子がどうもおかしい。


「…か、か、かっこいい…」



なっちゃんを見ては、明菜の顔が真っ赤に染まる。


なっちゃんは、明菜の視線に気付き、ふたたび舌打ちをした。


「もう、アカン。俺帰るわ!」


「え、ちょっと!」


健が、なっちゃんの暴走を止めにはいる。