………時が、止まったのかさえ感じた。


偶然の如く、あたしとなっちゃんと健の目が大きく開いた。


周りの雑音や人影も、聞こえなくなれば見えなくもなる。



「…は、はぁ?」

なっちゃんの声に、あたしはただ呆然と立ち尽くしていた。



そしてあたしも頭の中で一生懸命整理する。


今、自分が何を言ったのだろうか。



…………ッ!?


あたしは、今、とんでもない過ちを犯したことに気付いた。


「央ちゃん…」


健は苦笑だ。

無理もない。


あたしは、以前、彼にこう宣戦布告をした。


【惚れさせるんだから】

という、何とも言えぬ宣戦布告。


どこからその自信がきたのだろうと、いまだ謎に包まれるこの発言。



……だけど。

だけど……。



惚れてしまったのは、なっちゃんではなく。



きっと……。


あたしの方だったんだ……。



知らずのうちに、クールで短気ながらも、時折みせる優しさ、笑顔にあたしは間違いなく落とされたのだ。



知らずのうちに、あたしはなっちゃんに恋心を抱いていたのだ……。