「みんなで応援行くからな!」
クラスメートに囲まれたヨシは珍しく困惑気味。
地方大会決勝戦。
学校中の期待を背負ってのぞむ戦いに、
「えぇ~。なんか応援っていうか、プレッシャーやわ~俺」
冗談っぽく言ってみせてるけど、
多分、本音だ。
「おまえは来てもえぇぞ」
囲まれているヨシを遠巻きに見ていたわたしに、
突然、話が振られた。
「なんでよっ」
どっちみちブラスバンド部として、応援には参加するつもりではいたけど、
「おまえの下手くそな音で、相手のコントロールが狂うかもしらんしな」
ケラケラと笑ってやがるヨシに、缶ペンを投げつけてやった。
笑い声と驚きの声に囲まれながら、
ヨシは、みんなからの期待とプレッシャーを……頑張る力に変えていた。