急いで噛んで飲みこんだ。 「たいきでしょ……?」 「いや、苗字」 大貴の苗字?なんだっけ。 ……あ、れ? 大貴の苗字って…… もう一度、あの厳めしい、如何にも頑固オヤジな顔を思い浮かべる。 「あ……」 まさか。 っていうか、思いだした。 どうして忘れていたんだろう…… 「あいざわ」 あまり顔を合わせたことがないのですっかり忘れていた。 名前なんて知らなかったし。 会沢藤五郎は大貴のお父さんだ。