「ところで」

大貴は箸を置いて言った。

「十星の次の仕事って何なんだ?」


「え?」

あたしは大貴が作った野菜スープを飲もうとしていた。


「仕事見せるって言ったんだろ?」


「ああ、えっと」

「会沢家の掛け軸、だったよ」


「アイザワ?どこのアイザワだ?」


「あの有名な旧家の。当主の名前は会沢藤五郎だったと思う」

厳めしい、その顔を思い浮かべる。

やっぱり見覚え、ある気がするんだけどなあ。

あたしはスープを口に運んだ。


「……千夏」


「?」

サラダを口に入れたまま目を合わせる。


「俺の名前何だ?」