目を開けた。


そこには、微笑む大貴がいた。


「んなわけねーだろ」


あたしは抱き起こされた。


「千夏の親父さんとの約束を守ってるだけだ」


そう言って、ぽんぽんとあたしの頭を優しく撫でた。


「あ、泣くなよ」


更に涙が溢れて今にも零れおちそうなあたしを見て言う。


「また腫れたら面倒だからな」


あたしは必死にこらえたけれど、やっぱり流れてしまった。

「あー」

困ったような顔をして笑う。

「これ以上泣いたら朝飯抜き」


「え」


一気に涙が引いた。
人間て単純だ。