ゆっくりと大貴が離れるとあたしは訊いた。


「……どうして?」


多くを省いたその問いに、大貴は答えた。


「あんなの見せられたら流石に妬けるだろ」


苦笑い。



『妬ける』


やきもち?

本当に?


「何泣いてんだ」


大貴の指があたしの眼に迫ってきて、あたしは目を瞑った。
耳に向かって涙が流れるのがわかる。


大貴の手があたしに触れて、流れる涙を塞き止めた。


「あたしは」

言ってしまえ。


「大貴が」


それで何もかも。


「あたしを女として見てくれてないのかなって」


解決するかもしれないから。