大貴はそっと唇を離した。


あたしはなんとか呼吸を落ち着かせる。


「嫌だった?」


うっすらと目を開けたあたしに大貴は言った。


あたしは首を横に振る。


少し、怖かったけれど。

恐怖より驚きより、喜びの方が大きかった。


昨日、十星にされなくて本当によかった。


首を振るあたしを見て、大貴は再び顔を近付ける。


唇が柔らかく触れ、今度は心の準備をして受け入れた。


さっきは全く耳に入らなかった音が、生々しくあたしに響く。

それが余計にあたしを恥ずかしくさせて、あたしは大貴に酔いしれた。