「森じゃないですか」
砂だらけの砂漠には不釣合いなほど、闇に浸って黒々と茂る大木達。
聞いたことないよ、砂漠に森があるなんて。
なんて、考えたって目の前に広がる森は消えるわけでもなく、ただ吹き付ける冷たい風にあわせて、ごうごうと葉を鳴らしていた。
ま、なんでも有りか。
だって私の夢だもんね。
私は黒い森へと足を進めた。
さっきの砂漠もそうだけど、どうして私の夢は途方もなく広く、巨大なんだろうか。
まるで迷路見たいに立ちふさがる、木、木、木。
不思議とこの森の地面は砂漠の砂じゃないから、歩きやすいといえば歩きやすい。
にしても、さっきから一体何分歩いているのか。
いい加減時間の感覚が狂ってきた。
あれ、もしかして私、迷子になってる?
どの方向見ても森、上見ても森、遠く見てもぽっかりと口をあけるのは暗い闇。
どうしよう、せめてうーちゃんに一言言ってきたほうがよかったかな。
そう思ったとき、ふと、頭上から笑い声が聞こえた。
さっき見たときは誰もいなかったはず。
恐る恐る上を見上げると、木の上に座っていたのは、猫。
猫といっても、ただの猫ではありません。
だってそうでしょう?
笑ってるんだもん。